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富嶽百景 ―太宰治生誕百年― [山岳小説ほか]

本屋さんで思わず足を止めてしまった子どもたちの写真?しかも文庫のタテヨコが・・・
えっ?太宰治なの?このブックカバーは「だいたい」が大切だというブックデザイナーの祖父江慎さんと日常のあっと驚く瞬間を切り取る梅佳代さんの写真によるもの。今年は太宰治の生誕100年、それを記念して企画されたのだとか。(ちなみにその前のカバーは太宰と同郷の松山ケンイチさんでした。)

折りしも来る6月19日は「桜桃忌」、入水した太宰が発見された日で、お墓のある三鷹市の禅林寺でファンを交えて供養が行われます。桜桃とはサクランボのこと。太宰の『桜桃』という作品にちなんでいます。

太宰治の作品を読むのは中学生とき以来でしょうか?『富嶽百景』を読んでみました。
この小説は太宰らくしなく?暗くじめじめしていないような気がします。いろいろな場所から眺めた富士山がまるで絵画をみるように描写されています。「富士には月見草がよく似合ふ」の一節はあまりにも有名ですが、これは御坂峠から河口へ向かうバスの中での出来事。バスの乗客が富士に歓声をあげる中で隣に座った老婆は道端の月見草に目を向けます。どっしりした富士とはかない命だけど凛と咲く月見草の対峙に太宰は何をみたのでしょうか?東京のアパートの窓から見る富士は「くるしい」とか、甲府の富士は「酸漿(ほおづき)に似ている」なんて文学者ならではの表現です。

最初に富士を見たのはいつのことだったろう。修学旅行へ向かう新幹線の中だったはず。太宰が井伏鱒二と一緒に登ったという三ツ峠にもよく通いました。歩いて頂上に行くこともできますが、ここはロッククライミングの練習場でもあるのです。冷や汗を出して登ったあとには振り返れば富士が見えます。どこの山から見ても一目瞭然でそれとわかる富士の姿はやっぱり特別なものです。見上げれば富士がある、そんなはっとする瞬間が記憶に残っています。

走れメロス (角川文庫)

走れメロス (角川文庫)

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 文庫

『富嶽百景』が収録されている主な文庫へのリンク(Amazon)

中はどんな風に印字されているんだろうと気になります。



今が旬のサクランボ。日本中の桜にサクランボができればいいのに♪
nice!(35)  コメント(16) 
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コメント 16

エリザベート

狂ったように本を読むきっかけは太宰だったように思います。大人になって読めばまた印象が違うだろうな・・・生誕100年なんですね^^ 装丁も随分変わりましたね。。
by エリザベート (2009-06-17 11:48) 

qoo2qoo

こんにちわ☆
走れメロス、有名ですよね!!
図書室でもよく見かけます!!
サクランボいいですね~♪大好きです☆
by qoo2qoo (2009-06-17 16:22) 

mikanchan

太宰さんの作品、大昔に読んだっきりです。
それにしても文庫本を横にして表紙の写真を入れ込むとは斬新。
(…って私が疎いだけでしょうか。笑)

テレビも良いけど読書で自分の肥やしにする時間も大事ですね^^
図書館行ってきます(^v^)
by mikanchan (2009-06-17 18:30) 

hir

面白いデザインの表紙ですね
今っぽくて良いです

富士山って良いですよね
日本の心です 礎です
そういえば、富嶽百景って読んだ事無いです
ネットでも、読めるんですね 良い時代になりました
読んでみます
by hir (2009-06-17 18:49) 

リュカ

横向き写真の文庫って
初めて見ました。
面白い企画ですね^^
最近、本屋に行ってないからなぁ・・・週末に本屋さんに行ってみよう!
by リュカ (2009-06-17 19:14) 

montblanc

♪エリザベートさん
かなりの読書家なのですね!面白い本があったら教えてください。
生きててもおかしくないと思うと感慨深いですね。

♪qoo2qooさん
この「富嶽百景」とか「走れメロス」は教科書にも採用されていました。
サクランボ、福島や山形では狩りができるんですよ。
ハシゴに登って甘くておいしそうなのを口いっぱいほおばるのです!

♪mikanchanさん
いやぁ、コレは斬新だと思いましたよ^^
いろんなメディアを楽しめるのはよいことですね!
今の生活からテレビのない生活はなかなか想像できないですね。
今日はアイシテル最終回ですね!裏で太宰の特集も放送するみたいです。

♪hirさん
昔はみんな同じ表紙でタイトルだけが違うだけでした。
パケ買いしてしまいました?
文庫でもきれいな装丁のものはよいですね。
おぉ~「日本の心」「日本の礎」ですか!
確かに、心の中に富士があります!

♪リュカさん
「斜陽」「パンドラの匣」「ヴィヨンの妻」「人間失格」など
映画化の企画も次々と進んでいるそうです。
本屋さん巡り、お寺巡り、山巡り?何かを巡るの私は好きです。
by montblanc (2009-06-17 21:44) 

すずらん♪

これは本屋さん泣かせな装丁ですね~。
最近、本屋さんにも足を運んでいないので知りませんでした。
そして手にした読者も収納に悩むかもw
by すずらん♪ (2009-06-17 22:15) 

はりなたる

ちょっと意表をついた装丁ですね(^^)でもこれだけ並ぶとちょっと壮観(^^)日本にいたら集めたくなっちゃってたかも、です☆
by はりなたる (2009-06-18 05:55) 

daisy

横になったブックカバー、
ちょっと手に取ってみたくなりますね。

サクランボって今が旬なんですね。
お腹いっぱい食べてみたいです^^

by daisy (2009-06-18 16:43) 

montblanc

♪すずらん♪さん
ディスプレイするには悩むでしょうね^^
でも変わっているから余計に目に付くのかも?
とりあえず基本的には普通の文庫本と同じ作りなので
本棚には収まるようにできています!

♪はりなたるさん
でしょ(^^)
最近変わった装丁のもの増えました。
デザインからは何の本かさっぱり分からないし、
関連性も想像がつきません。

♪daisyさん
みてるだけで楽しいですね!
福島は今月いっぱいぐらいですかね。
山形ではもう少し長くサクランボが楽しめます。
つみたてのサクランボはとっても美味しいです♪
by montblanc (2009-06-18 22:27) 

yukitan

若い頃、太宰治の本の中では最初に読んだのは「斜陽」でした。
「走れメロス」を読んだのはもっと前の小学校時代でしたが・・・
サクランボ、美味しそうですね。
by yukitan (2009-06-20 17:39) 

montblanc

♪yukitanさん
「斜陽」耽美的な作品ですね・・・
太宰治の文庫かなり人気があるみたいです。
桜桃忌もかなり盛り上がったみたいですね。

サクランボ、若い木のほうが大きい実がなるそうですよ♪
by montblanc (2009-06-21 00:02) 

ホシ

変なとこに喰い付いてしまいました。
祖父江さんと梅佳代さんなんて、なんて楽しいブックカバー☆
いいなあ。
三ツ峠、近くのガッコだったんですが、未だ登ったことが無い。
なんだかいろいろ歴史あるんだなあー。
太宰さん、三鷹も近いし、いろいろ思うんだけど、
全然読んでない…どこから入ったらいいでしょかね?

by ホシ (2009-06-24 16:59) 

montblanc

♪ホシさん
ホシさんの写真に会う本てどんな本かなぁ~なんて想像しちゃいました^^
三ツ峠は四季を通じて富士がきれいなところで大好きな場所です!
どこから?やっぱり三ツ峠に登るところからかなぁ~?
『人間失格』の「私は、その男の写真を三葉、見たことがある。」
なんて出だしも気になりますね!
by montblanc (2009-06-24 22:18) 

nayusa

そう、この日は読書を
語る上で、外せないよね。
太宰。今でも、よく読みます。
by nayusa (2009-06-25 14:49) 

montblanc

♪nayusaさん
文学作品、大人になった今もう一度読んでみたいです。
by montblanc (2009-06-25 20:14) 

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