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万葉集 [山岳小説ほか]


 春過ぎて 夏来るらし 白栲の 衣干したり 天の香具山  

持統天皇の有名な一首です。もう少し早い時期のものですが、夏が恋しくて思わず選んでしまいました。8月に入ってなお梅雨の明けない日本、いったいどうしてしまったのでしょう?

 春過ぎて 夏来にけらし 白たへの 衣干すてふ 天の香具山

と覚えていらっしゃる方、これは『百人一首』。ちょっとニュアンスが違います。

天の香具山は、耳成山(みみなしやま)、畝傍山(うねびやま) と共に大和三山の一つです。神様が宿る山、故郷の山、美しい自然の山・・・。東は筑波山から、九州の木綿山(ゆふやま)まで、もちろん富士山も、多くの山が万葉の歌に詠まれています。

自然の美しさを力強く詠んだ歌も素晴らしいですが、恋の歌もまた素敵です。ストレートに気持ちを歌に詠む人(うらやましいなぁ~)、裏の裏の裏を歌に詠む人(自分はこっち派かなぁ?)。歴史的背景と登場する人の相関が分かると、目の前に万葉の世界が見えてくるようで一段と面白いです。教科書で習った時には、恋も歴史も知らなかったのでもったいなかったです。こんな風に横書きにするのは違和感があるし、一首だけ引っ張りだしてしまうのはしのびないです。今一度じっくり万葉の歌にふれてみたいと思います。

そして最後に「山」のつく二人の歌人の歌を二首。
自然を詠んだ山部赤人、歌を読んだだけで自然の美しさに背筋がゾクゾクします。

 田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける 

社会生活を見つめまた山上憶良、今の時代にも通じるまなざしに心が揺れます。

 世間を 厭しと恥しと 思へども 飛び立ちかねつ 鳥にしあらねば 

暑い夏、ゆったりと過ごしてみるのもいいかもしれません。

『竹取物語』の時に紹介した角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックスシリーズ、140首を図録やコラムなどを使って分かりやすく解説。

万葉集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

万葉集 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2001/11
  • メディア: 文庫


物足りない人にはこちら、万葉集の第一人者、中西進氏による
『万葉集―全訳注原文付(1~4巻)』(講談社文庫)さらに別巻で『万葉集事典』があります。
万葉集―全訳注原文付 (1) (講談社文庫) 万葉集―全訳注原文付 (2) (講談社文庫) 万葉集―全訳注原文付 (3) (講談社文庫) 万葉集―全訳注原文付 (4) (講談社文庫)

最近のちょっとだけ夏の空。青空よ!白い雲よ!帰っておいで。

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ホシ

万葉集、と聞いただけで、ちょっと古典の授業を思い出して
苦しい気持ちになってしまうワタシです…
なんだか優雅な感じするね(^^)
田子の浦って、あの田子の浦かなあ。

by ホシ (2009-08-03 14:06) 

hir

いい大人として、知っていて良さそうな本ですね
きちんとビギナー向けなんですね、、、
私向きです
購入候補とさせて頂きます!

by hir (2009-08-03 18:27) 

mikanchan

百人一首で遊んでいたときには意味も知らずにやってましたが、
大人になってから改めて知ると、また違った余韻がありますね^^
by mikanchan (2009-08-04 01:19) 

リュカ

梅雨明け本当にしたの??とおもうくらい
天気が悪いですね。
百人一首の本は持ってますが、万葉集は手に取ったことがないです。
わかりやすい解説があるのは良いですね^^
by リュカ (2009-08-04 08:48) 

るる

訪問&コメントありがとうございました。
アイコン変えましたよ^^

やはり「57577」の中に詰め込まれた小宇宙には感動しますね。


by るる (2009-08-04 08:49) 

montblanc

☆ホシさん
そういえば「夏は来ぬ」まだ聴いていません。
確かに、文法とか読み方とか苦しいですね・・・
(ふり仮名も訳もあるので音を楽しむだけでいいみたい?)
そう、駿河湾の田子の浦です(ザッパーン)

☆hirさん
このシリーズ2冊目なのですが、入門書としてよくできてると思います。
文庫サイズだし、時間が空いたときにちょこちょこ読めます。

☆リュカさん
北海道から東北にかけては平年の2倍の雨量で6割の日照時間だそうです。
百人一首もいろいろな和歌を楽しめますね♪挿絵も楽しそうです。

☆るるさん
57577と数字にすると不思議な感じです。
言葉の小宇宙、旅してみたいです(^^)
by montblanc (2009-08-04 21:57) 

にごろ

香具山といえば知っているのは、
天の香具山 のぼりたち 国見をすれば~
うましくにぞ 大和の国は
ぐらいで精一杯ですが、これって万葉集でしたでしょうか?
間が抜けてると思いますが…
by にごろ (2009-08-05 06:59) 

montblanc

☆にごろさん

 大和には 群山あれど とりよろふ
 天の香具山 登り立ち 国見をすれば
 国原は 煙立ち立つ 海原は かまめ立ち立つ
 うまし国そ あきづ島 大和の国は
                       舒明天皇

古都奈良好きです。特に飛鳥とか。
自然の中で古の都に思いを馳せてみる・・・
大和に鴎が謎?この句は九州説もある句ですね。
by montblanc (2009-08-05 20:13) 

sato

古典の中に
自分の個性を重ねる時間。
大事にしたいです。
by sato (2009-08-07 11:52) 

montblanc

☆satoさん
古典を読んでいると自分が立っている場所が分からなくなって、
クラクラしてしまう時があります。それがまた心地よかったり?
by montblanc (2009-08-07 20:34) 

黄昏の線路

万葉の歌、改めて触れてみたくなりました!
感受性豊かで、表現力、言葉の選び方、面白い要素たくさんありますよね。万葉の世界にワープした感覚がたまりませんね。
by 黄昏の線路 (2009-08-11 01:03) 

montblanc

☆黄昏の線路さん
古典は大人になってから読むと味わい深いものがあるのかもしれません。
普段みている景色に時代を重ね合わせてみえたら、どんなにステキかと・・・
by montblanc (2009-08-11 23:57) 

即プレイOK

ここの「あや」は誰とでもセクスする悪い子(*´ω`)☆ http://org.e29.mobi
by 即プレイOK (2012-09-28 00:55) 

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