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単独行者 [山岳小説ほか]

加藤文太郎は、昭和初期の登山家で、彼の登山への情熱たるやとどまることを知らず、一日15時間100kmもの道のりを歩いてしまうほど。健脚を越えて剛脚の持ち主です。誰も彼についていくことができなかったからなんて話もありますが、彼の登山スタイルは単独行がメインでした。特に冬山に魅せられ、槍ヶ岳をはじめ、厳冬期の日本アルプスの峰々に足跡を残しました。

彼自身の著作に『単独行』があります(青空文庫でも読めます)。彼をモデルにした新田次郎氏の小説『孤高の人』も有名です。私も少なからず影響を受けて、地図上の自分が歩いた道を赤鉛筆でなぞったり、最寄りの駅から登山口まで歩いてみたり、昼夜歩き続けたりしました。

この本を読む中で、どこまでが事実で、どこまでがフィクションなのか非常に戸惑いました。登山者の心理や山の描写など非常に巧みに表現されているのですが、やはり真実は本人のみしか知り得ないことです。前述の『単独行』も合わせて読むことをおすすめします。昭和11年1月、加藤文太郎は槍ヶ岳から北に延びる北鎌尾根でパートナーと共に命を落としています。


単独行者(アラインゲンガー)新・加藤文太郎伝

単独行者(アラインゲンガー)新・加藤文太郎伝

  • 作者: 谷 甲州
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2010/09/16
  • メディア: 単行本


とある年の5万分の1地形図「立山」

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コメント 4

hir

カッコでアラインゲンガーとありましたが、聞き慣れない言葉で調べてみたら、ドイツ語なんですね(笑)
青空文庫って、良いですね
最近ではビュワーもあるようで手軽に読む事ができて便利になりました
触りを読んでみましたが、手記、メモ的な文体が妙にリアル感があって山の緊張感が伝わってきますね
写真も撮ってらっしゃるようですが、現存するんですかね?
by hir (2010-09-21 22:38) 

肉球

100kmを15時間で歩くって歩くってすごいですね。
東京から名古屋まで3日で行けちゃいますね。
一人で日本アルプスの冬山を山登りって
よほど精神力が強くないと厳しそう。。。
by 肉球 (2010-09-22 10:04) 

montblanc

☆hirさん
Alleingängerは、ドイツ語でより困難を求める単独行者のことで、『単独行』の中にも出てきますね^^山へは一人で入らないでくださいという呼びかけもありますが、単独行も一つの確立した登山スタイルです。
35mmが出現する前の戦前のドイツカメラで撮った山の写真、私も気になります。
兵庫県美方郡新温泉町(旧浜坂町)には加藤文太郎記念館があって当時の写真を見れるそうです。植村直己冒険館と共に兵庫に行ったら立ちよってみたいです^^

☆肉球さん
山に登って、自分の歩いた道のりを振り返るたびに、人間の足ってすごいなっていつも思います^^大阪までは1週間、日本縦断(北海道最北から九州最南)3000kmは1ヶ月ですか!
冬山は本当に厳しいですね~雪を掻き分けて道を作りながら歩くのは、1日で数キロ歩けるかなんてことがあったり・・・
by montblanc (2010-09-23 22:53) 

hiko

この人は山岳マラソンの走りだったのかもしれませんね。。山に取り組む姿勢は根本的に違うかもしれませんが、現代に生まれていたら、ウルトラトレイルモンブランなんかに参加するような人になっていたのかも、、そんな馬鹿なことも考えてしまいます。。
by hiko (2010-10-09 21:33) 

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