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芙蓉の人 [山岳小説ほか]

今日7月1日は、富士山の山開き。山頂付近にはまだ雪が残り、この日のために関係者で除雪したそうです。一般的な登山シーズンはたったの2カ月ほど、高さも人気も日本一ですが、その気象の厳しさも日本一なのです。

改めて読んだこの山岳小説。「壮絶」な内容です。明治時代に富士山頂での高層気象観測に大志を抱き、初の厳冬期の登頂を成し遂げ、さらには山頂に小屋を建てて越冬観測に挑んだ野中至の実話がベースになっています。さらに驚くことには、夫や姑が絶対だったその時代、妻の千代子は夫を助けるために、周囲の反対を押しきって冬の富士へ向かうのです。

小屋とは名ばかりの閉ざされた空間と想像を絶する寒さの中で2時間おきに休みなく観測を続けます。寒さばかりでなく、睡眠不足や栄養失調から、体はむくみ、意識は朦朧とし、体がむしばまれていきます。私の知り合いの女子は、この本を読んで山登りを始めたと言っていましたが、私はこれを読んでいたら絶対に山登りはしていなかったでしょう。氷点下の山の厳しさを知った今でもこんな過酷な環境には耐えられません。

山開き、海開き、そして夏休みです。老若男女を問わず、大自然の中で楽しい体験をして欲しいものです。


芙蓉の人 (文春文庫)

芙蓉の人 (文春文庫)

  • 作者: 新田 次郎
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1975/01
  • メディア: 文庫


芙蓉(フヨウ)とは富士山の別称でもあります。この季節、芙蓉の花をみる度に遠い富士のことを思い出します。
nice!(25)  コメント(6) 
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コメント 6

ikuko

この本、気になります。
来月、初めて富士山の近くに行きます。
今まで、新幹線の窓から、とか、東京のビルの上から、とかしか
見た事がなかったんです。
楽しみです^^
by ikuko (2010-07-02 12:57) 

りあ

nice!・コメ、ありがとうございました!

青空が広がった!とおもったら、
疲れの雲が広がってきましたww
by りあ (2010-07-02 18:35) 

hir

富士山を芙蓉ですか!
雅な感じでいいですね
タイトルとは裏腹な壮絶なお話ですか
富士山がモチーフな話なだけにそそられますね
by hir (2010-07-03 09:23) 

雉虎堂

この本確か途中でいたたまれなくて
読み切れなかった記憶があります
私は、障子紙なみに虚弱で猫にも負けるし
根性がもやしで寒がりで閉所恐怖症なのです(^^ゞ
by 雉虎堂 (2010-07-05 20:25) 

montblanc

☆ikukoさん
わぉ!それは素敵ですね(^^)
私が最初に富士山を見たのは修学旅行に行く新幹線だった記憶があります。そのときは、まさか登ろうだなんて夢にも思っていませんでした。
富士山にもいろいろ顔があるようですよ。
どんな富士山がお出迎えしてくれるか楽しみです♪

☆りあさん
テストお疲れ様でした。
疲れの雲ですか!なんかどんよりって感じですね(^^);
おいしそうな雲とか、
ふわふわしてってバフッってしたくなる雲に会えるといいんだけど?

☆hirさん
雅ですよね~♪ 万葉の頃からの呼び名だとか^^
新田次郎さんは、昭和の富士山頂測候所での勤務経験もある方で
富士の描写はとてもリアルです。他に『強力伝』なんてのもオススメです。
芙蓉の花からは美しさしかイメージできませんが、富士山には厳しさもあるようです。

☆雉虎堂さん
あまりにも社長のインパクトが強くて、雉虎堂さんにも吹けば飛ぶようなイメージは微塵も感じなかったりしてしまいます。
もやしにたっぷり光を与えて育ててみたくなりました^^
豆本の豆は何の豆?
by montblanc (2010-07-06 05:15) 

mint_tea

芙蓉の人、何度も読みました。。
この本を読んで富士山に登ろうと決心しました。
山頂の小屋で一晩中風の音を聞きながら、こんなところで
冬になんて……などなど考えていました。
by mint_tea (2010-07-26 20:38) 

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