熊になった少年

山の紅葉が赤く色づく頃、サケの仲間は故郷の川を目指し、シカは求愛の歌を歌い、クマは冬眠にそなえてドングリの枝にかぶりつきます。自然の大きな器の中で巡る命。そんな中に一歩足を踏み入れると自分の存在がとても不思議なものに思えてくるときがあります。

冬眠前のこの時期と冬眠から覚めた時期は、クマの被害ニュースを聞くことがあります。本来クマは警戒心の強い動物でむやみに人を襲ったりはしません。こちらが気づく前に熊がそっと立ち去る場合がほとんどです。リュックに鈴をつけ唐辛子スプレーを持つのも有効かと思いますが、熊たちの暮らしを知り、お互いに意識することで不幸な事故を減らすことができるのではないかと思います。

この本はアイヌの民話や神話をもとに書かれた池澤夏樹氏による創作童話です。北海道を舞台にした長編小説『静かな大地』執筆の過程で書かれたのだとか。熊狩りの中で熊を尊び敬うアイヌに対して、心がねじれたトゥムンチの一族。熊に心をひかれるイキリ少年は、ある日熊になってしまいます。人の心と熊の心を知ってしまったイキリ少年の魂の行方は・・・深みのあるタッチのペン画の挿絵と共に心の奥底に響く物語です。

熊になった少年 (SWITCH LIBRARY Rainy Day Books)

• 作者: 池澤夏樹 絵:坂川栄治
• 出版社/メーカー: スイッチパブリッシング
• 発売日: 2009/06/22
• メディア: 単行本

秋空に色づくモミジ

タグ：クマ アイヌ トゥムンチ

コメント 7

紅葉の色づきが美しい季節になりましたね。
朝晩がとてもひえているのですね。


わたしはクマと遭遇したことはありません。
montblanc さんはいろいろな本を読んでいられるんですね。少年はどうなるんでしょう。機会があったら読んでみたいと…
by tomosibi (2009-10-30 07:16) 

池澤夏樹さん、一時期好きで、よく読んでました！
この本は初めて知りましたー。
読んでみたいです。
by ikuko (2009-10-30 12:37) 

☆tomosibiさん
10月はそれでも息が白くなることはありませんでした。
11月に入って本格的に冷えそうですね。

私は何度かクマに会いました。
大騒ぎして驚いてしまった私に対し、クマさんはとても紳士的に立ち去りました。

☆ikukoさん
i池澤ワールド☆私も好きでよく読んでいました。
久しぶりに彼の静かな世界に浸りました。
本やさんで立ち読みできるくらいの分量です^^
by montblanc (2009-10-30 22:41) 

今朝は朝もやの中の日の出をみました。
朝露に濡れたひこばえがとてもきれいでした。
日中はさわやかな青空、汗ばむいらいのいい陽気でした。
そして今宵は十三夜、もやに霞んだ月が浮かんでいます。

☆みなさま
よい週末をお過ごしください♪
by montblanc (2009-10-30 22:46) 

こんにちは！早速読んでいただいたのですね。
ちょっと切ないのだけれど、とてもいい話ですよね。
by hiro (2009-10-31 02:46) 

紅葉綺麗ですね！
この辺は１２月初旬かな？
by ひろＰ (2009-10-31 11:52) 

☆hiroさん
こちらこそ、教えて頂いてありがとうございます。
クマにも人間にもなれなかったイキリ少年、セツナイです・・・
生きることを考えさせられるような物語でした。
『静かな大地』を読んでからと思ったのですが、まだ手つかずです(＾＾)；

☆ひろＰさん
紅葉の楽しめる期間は長いですね♪
これから一層冷え込んで色鮮やかになりそうです（^^）
ここ数日は朝もやがとってもきれいです☆
もう少し冷え込んだら霜になってしまうんだろうなぁ～
by montblanc (2009-11-02 20:27)