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ハチはなぜ大量死したのか [森林・自然保護]

8月です。ハチの話。表紙の顕微鏡写真の横顔が怖くて長いこと手に取るのをためらっていたのですが、実に面白く考えさせられる本でした。

私たちの生活がいかハチの恩恵にあずかっていることか!ハチミツばかりではありません。作物の花々の受粉を助け、多くの果実を実らせてくれるのです。フロリダのオレンジやアーモンドがミツバチたちのおかげで食べれるなんてびっくりです。

ハチの生態も詳しく書かれていて、その群集の智恵に感心せずにはいられません。働きバチは、部屋掃除や幼ハチ世話など「内勤」から、蜜と花粉集めの「外勤」へ。気ままで哀れな最後の雄バチ。君臨する女王蜂。ミツバチは優秀な宅配便屋さんだとかタンポポはマクドナルドだとか全編通じてユーモアにあふれていて思わず頬が緩みます。

一方、今世界でミツバチが大量死するという異変がおこっています。寄生虫、農薬、ウィルスとミツバチが置かれている状況は非常事態。病気には抗生物質、栄養剤としてシロップやサプリを与えて、人間の都合で酷使されているのです。せっかくだからと登山用非常食の固形ハチミツをなめながら読んでいたのですが、このハチミツはどこからきたの?と、のどにつまらせそうになりました。食糧事情は知ると怖いものがあります。

なぜ?どうして?ミステリーのようにも読み進められますが、最後は私たちの生活を見直すことになるのかもしれません。気の遠くなるような生物の進化の過程で作られたシステムに対し、経済優先の人間のシステムはいかにその場限りのものか・・・。花が咲き乱れハチ達が飛び交う、本当の意味で自然の恵みにあふれた未来が続くことを望まずにはいられません。

原題は 『Fruitless Fall』 実りなき秋? 巻末付録にはハチの飼い方もあります。

ハチはなぜ大量死したのか

ハチはなぜ大量死したのか

  • 作者: ローワン・ジェイコブセン
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/01/27
  • メディア: 単行本



nice!(29)  コメント(11) 
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コメント 11

qoo2qoo

ご訪問ありがとうございましたo(´▽`*)/
ミツバチが大量死、TVでも見た覚えがあります。謎ですね!
by qoo2qoo (2010-08-02 10:10) 

ikuko

ミツバチが大量死・・私も何かで見た記憶があります。
逆にスズメバチ、増えてるような気がするんですけど、
気のせいかな・・・。
by ikuko (2010-08-02 17:38) 

リュカ

そうなんですよね。
ミツバチが大量死してるんですよね(TT)
彼らがいるから、いろんな食べ物を人間も食べられる!!!
この本面白そうです。
by リュカ (2010-08-02 22:30) 

hir

経済優先の人間のシステム、、、
本当の意味で自然の恵み、、、
重要なキーワードが並びますね
原始に帰れとは言いませんが、上手く共存出来る道を模索しなければならない時期なのかも知れませんね
その為に我々が何か犠牲にしなければならない事もあるのかもしれませんね、、、
色んな切り口から、montblancさんは見てらっしゃる!
by hir (2010-08-02 23:02) 

montblanc

☆qoo2qooさん
スイカもイチゴもハチのお陰で食べられるんですよ(*´▽`*)
ハチが花粉を探しに行ったり、ハチミツ作るところカワイイです♪
そうそうハチのダンスも知ってなるほどです!

☆ikukoさん
日本のミツバチはスズメバチをやっつけることができるそうです。
スズメバチより高い体温で攻撃するのだとか。
お庭の垣根、ハチに悩まされないといいですね。

☆リュカさん
日本でもオーストラリアから空輸されているミツバチたちがいるようです。
花のことばを読んだり、進化の過程に
太古のロマンを感じるところなんかリュカさん向きではないかと^^

☆hirさん
自動車のために植物を作る時代ですからね~
アメリカや中国の大規模農場っていったいどうなっているんだろうと?
それに比べると狭い国土が幸いしてか日本の自然てホントに豊かだと思います。身近なところに大切なことがたくさん隠されているのかもしれません。
by montblanc (2010-08-02 23:40) 

雉虎堂

私は人生で2度蜂に刺された事がありますが
二回ともクチビルなんです〜( i _ i )
一回目はいかりや長介に
二回目はタコちゅーのように
なりました
な~ぜ~(・・?)

by 雉虎堂 (2010-08-03 09:07) 

響

農家の方はミツバチが減ってかなり困ってるようですね。
刺されたら痛いけどいないととっても困る虫です。

by (2010-08-04 03:40) 

alo-had

この本は読みました。
昨年のブログでも紹介したことがあります。
その犯人探しのプロセスのレポートは、
つまんない推理小説なんかよりも数倍面白い、
とってもエキサイティングなレポートになっていて、
今まで知る事も無かった蜂を取り巻く商業農業のシステムの問題点の深刻さに驚かされたものです。w
by alo-had (2010-08-05 02:07) 

肉球

蜂の件、以前TVで見たことがあります。
人間による環境破壊が原因なんでしょうかねぇ?
人間も蜂から恩恵を受けているので、共存できる道を探さないと。。。
保護政策も必要かもしれませんね。
by 肉球 (2010-08-05 12:32) 

Jetstream777

環境変化により生態系が変わると、いろんなところに影響がでてくるでしょう。 それが積み重なって人類滅亡なんてありうることでしょう。 動植物の過去の変遷が証明していますね。。。
by Jetstream777 (2010-08-05 15:26) 

montblanc

☆雉虎堂ざん
お聞きするだけで痛々しいです(x_x)
野に咲く花よりも美しく、蜜よりも甘い唇なのでしょうか?
三回目はどんな顔になってしまうか気にもなりますが、
三回目がないことを心よりお祈りします。

☆響さん
作物の実りにこんなに貢献しているなんて!驚きでした。
日本でもセイヨウミツバチをオーストラリアから輸入しているようですね。
在来種のニホンミツバチは都市部でもたくましくがんばっているようです。

☆alo-hadさん
さっそく過去記事拝見させて頂きますね^^
とても自然科学書とは思えませんでした。
アメリカや中国の大規模農場っていったいどんなことになっているのだろうと、
普段口にしているものも多いだけにその現実が気にかかるところです。

☆肉球さん
人間が不利益を被るからハチの減少が問題になるという
やはり人間本位の問題提起がおおもとだと思うとため息がでます。
それでも共存できる道をなんとか探そうという空気になるといいですね♪

☆Jetstream777さん
人間は種の滅亡の道を確実に進んでいるような気がしてなりませんね。
それでも地球には環境に適応しつつ、繁栄する種もでてくるのでしょうか?
とりあえず自分の一生をどう生きるか悩むところです。
by montblanc (2010-08-05 21:58) 

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