SSブログ

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか [遭難・セルフレスキュー]

山ガールがテレビ各社ニュース特集で取り上げられ、富士登山は25万人を超えたという今年の夏山。昨年の7月、北海道のトムラウシ山で起こった18人のツアー登山の遭難事故。8人もの死者を出して大きく報道されたのにも関わらず、今年もまた、遭難事故があとをたちません。

長年、遭難事故の取材を続けて警鐘を鳴らしてきた著者をもってしても、遭難事故は他人事でしかないのかという思いを抱いてしまう現状。それでもなお事故を教訓とすべく書かれた一冊です。生存者の証言を元に知るその日の様子はあまりにも悲惨です。激しい風雨の中で寒さに震え、力尽きて次々と倒れていく参加者。本来は行動を共にする仲間が、散り散りになっていきます。自分の命を守るにも精一杯な中で、よろめく人に肩をかし、励まし、助けられなかったことを悔やむ証言に胸がつまります。

章を別にして、同行したガイドの証言。気象遭難、低体温症、運動生理学に関して各専門家からの検証。ツアー登山に関する考察がまとめられています。中でも「低体温症」については登山者すべてが知っておかなければなりません。知識だけでなく、必要な装備や行動など対策と予防が肝心です。

自然を相手にする登山は厳しさもあるけれど、やっぱり素晴らしいもの。山へ向かう人には「気をつけて、いってらっしゃい」と送り出したいし、笑顔で「おかえり」と迎えてあげたいものです。私が心がけているのは2つ。「無理をしない」ということと「山をナメない」ということ。自分を知り、山を知ることで危機的状況を回避してきたような気がします。

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

  • 作者: 羽根田治
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2010/07/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(26)  コメント(6) 
共通テーマ:
ブログ村へ

nice! 26

コメント 6

woodmouse

信じがたい事故でしたが、装備だけは気をつけたいと思いました。
by woodmouse (2010-08-30 23:40) 

hir

記憶に新しい事件ですね
多角的に分析されてるようで、これは読んでみなければ

by hir (2010-08-31 17:44) 

mint_tea

もう少しどうにかなったように思える遭難でしたね。
ツアー登山のマイナス面があらわになったような……
強風や雨、ガス、気温、天気の急変etc.
もともとの体力がイマイチな私には、これらが一番の難敵です。
それでなかなか秋の涸沢にすら足を踏み込めないでいます(^^;)


by mint_tea (2010-08-31 20:53) 

montblanc

☆woodmouseさん
遭難死された方のザックには着られなかった保温着が入っていたとか・・・
行程が長丁場のため必然的にザックの重さも嵩んでいようです。
必要な装備とは何か、本当に考えさせられます。

☆hirさん
捜査段階ではようやく現場検証が終わったようですね。
ベースになった社団法人日本山岳ガイド協会の
『トムラウシ山遭難事故調査報告書』はweb上でも閲覧可能です。
http://www.jfmga.com/pdf/tomuraushiyamareport.pdf

☆mint_teaさん
もしも・・・だったら、考えずにはいられません。
ツアー登山、様々な問題を抱えている側面もあるようです。
人災と天災、防げるものも少なくありません。
涸沢の紅葉が素晴らしいときは雪が降るときもありますね;;;;
天候が安定して絶好のチャンスに恵まれる可能性もありです!

by montblanc (2010-09-03 20:37) 

minK

登山といえば、最近の方のマナーもどうだろう?
挨拶も出来ない人が増えてますね。
ビックリです。
それくらい素人さんなのだから、装備が悪くても
仕方ないと思ってしまいました。
by minK (2010-09-03 21:46) 

hiko

こんにちは。

ゴアテックスの雨具を着ていてもびしょぬれになってしまうくらいの雨。
想像以上の状況下に陥った場合にどうしたら良いのかというのを考え
させられた1件でした。
もちろん、そうなる前に避けられれば良いのですが。。山は臆病に
なってもなりすぎることはないのかもしれませんね。

by hiko (2010-09-12 19:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
   最新記事のまとめ読みと
   So-net以外のRSS登録▽

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。