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裸の山 [ヒマラヤ]

「裸の山」と訳してしまうと、ちょっと違和感を感じますが、ナンガ・パルバート(ナンガ・パルバット)は標高8125m、世界で9番目に高いパキスタンの山です。戦前戦後とドイツにとっては国家をあげてその制覇に挑んだ宿命の山です。そして多くの命を奪った魔の山でもあります。

当時ヒマラヤの高峰は極地法と呼ばれる大規模な組織で攻略すべきものとされていました。ベースキャンプの隊長の指揮のもとに前進キャンプを設営、そして最後に頂上にアタックするのです。ルート工作、何トンもの物資の運搬、一カ月をかけて山を登るのも当たり前。天候が悪ければ翌年へ持ち越しです。

この本は1970年の登攀の様子を回想したもの。ヘルリヒコッファー隊長のもとメスナー兄弟がより難しいルパール壁(なんと高さ4500mの絶壁です!)からの登頂に成功するのですが、下山時に弟のギュンターが雪崩で遭難し、兄のラインホルトも足の指を6本も失うほどの凍傷の足で5日かけて麓の村に奇跡の生還を果たします。以後の隊長との確執が登山界を巻き込んで長年の大騒動となります。

その後もヘルリコッファーは数々の遠征隊を指揮し、ラインホルト・メスナーは次々に無酸素で8000m峰に次々に登頂していきます。何が山へ向かわせるのか、偉大なる登山家は何かに憑かれてしまうものなのかもしれません。

裸の山 ナンガ・パルバート

裸の山 ナンガ・パルバート

  • 作者: ラインホルト・メスナー
  • 出版社/メーカー: 山と渓谷社
  • 発売日: 2010/10/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


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リュカ

裸の山だけ聞くと、ちょっとコメディっぽいのですが
全然違うのですね!
足の指を6本も失うなんて恐ろしいです(TT)
筑波山に登って、拷問だ~なんて言っていたら笑われちゃいますね^^;
by リュカ (2010-11-05 23:49) 

hiko

ハイキングは好きで、アルパイン登山家の話も読んだり
するのも好きなのですが、なかなか登山家のように
あの山を征服したい!という気持ちにはなりません。。

山麓をうろうろしているのが自分にはあっているのかも、
なんて思ったりしております(^^ゞ
by hiko (2010-11-06 16:40) 

雉虎堂

襖の角に足の小指を引っ掛けただけでも
痛いのに、指なくなっちゃうって(゚Д゚;)
本当に不思議、どうしてそこまでって思います

ご無沙汰している間に
熊ちゃんアイコンがワインに。そしてほんのり
頬が桜色!可愛い~(>_<)
by 雉虎堂 (2010-11-06 17:19) 

肉球

子供のころ、富士登山をしたことがあります。
親に連れられ、泣きながらでした。
大人になった今でも、つらそうな気がします。
それよりも倍以上ある山って想像がつきません。
遭難・指を失うなど、想像を絶する苦難があろうと、
登りたくなる魅力があるんですね。
by 肉球 (2010-11-08 13:13) 

montblanc

☆リュカさん
おぉ~筑波山登られたのですね!
素晴らしい!秋の筑波山の様子、すぐにブログに飛んでいきます^^
山登りはある意味、拷問なのかもしれません^^;

☆hirさん
山登りの楽しみは登る人に合わせて無限大です!
どんなに痛い目に会っても、より高みに足を踏み上げたいと思ってしまうこともあります。征服したと思ったことは個人的にはないです。登らせてもらった感がとても強いです。

☆雉虎堂さん
足を怪我して足で襖をあけられません。私の知り合いの猫は(こう書いてしまうと知人の猫のような印象を与えしないかと思ってしまうのですが、猫と私は直接の知り合いであることがほとんどです)引き戸を上手にあけるのでちょっと悔しいです。

☆肉球さん
泣きながら山を登っている子どもをみると、この子が大人になったらと思うと、とても複雑な気持ちでその後ろ姿を見送っています。是非とも山を好きになって欲しいと思うのですが、なかなか難しいようです。
by montblanc (2010-11-08 21:31) 

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