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タロ・ジロは生きていた―南極・カラフト犬物語 [アンデス・その他世界]

今日1月14日は「愛と希望と勇気の日」だそうです。1959年(昭和34年)のこの日、タロとジロの生存が確認されたことに由来するとか。映画の『南極物語』、思い出すだけで胸が熱くなります。でも冒頭の命名にはなんかピンときません。憤りとかやるせなさとか、感動の根本にあったものは何だったのだろうかと思い関連する本を読んでみました。

まずはタイトルの、犬係の菊池徹氏監修の子供向けの本ですが、冒頭の子供たちに向けた言葉が清々しいです。「南極に行くためには、健康な体と何ものにも負けない強い心をもつこと。」タロをがんばりやさん、ジロをちゃっかりものと評するなど、犬への愛情が全編に通じて感じられます。『南極の犬ぞり』 という本がベースになっているようですが、こちらは本格犬ぞり探検の参考書になる内容です。

もう一人の犬係、北村泰一氏の『カラフト犬物語』。この本は写実的で力強い挿絵がふんだんに用いられた読み物です。プロジェクトとしての第一次南極越冬隊の様子を知ることができます。何といっても1年後に犬たちに再会した様子が感動的です。「トゥ、トゥ、トゥ」と犬ぞりのかけ声が聞こえてくるようです。

最後に第一次南極越冬隊の隊長である西堀栄三郎氏の『南極越冬記』 (岩波新書 青版)。隊長という立場からの記録ではなく、より自由に南極越冬隊の様子を綴った手記です。「能率協会会長」のあだ名も持つ氏の言によると能率とは「目的を達しながら要領よく手を抜くこと」だそうです。南極の自然について、各々の研究について、基地での暮らしについて、なんと広く深く細やかな視線を持った探検家なのだろうかと嘆息しました。

そうそう、みんなの人気者だった猫の「たけし」のことも気になります。机の上に両手と顔を乗せて目をつむった「気をつけ」の姿勢はなんとも愛嬌があります。そしてカラフト犬たちも南極越冬隊の大切な一員であたことを強く確信しました。でもやっぱり人間の都合だったのかなぁ・・・犬たちはあまりにも人間に忠実です。複雑な心境です。

タロ・ジロは生きていた―南極・カラフト犬物語 (ジュニア・ノンフィクションシリーズ)

タロ・ジロは生きていた―南極・カラフト犬物語 (ジュニア・ノンフィクションシリーズ)

  • 作者: 藤原 一生
  • 出版社/メーカー: 銀の鈴社
  • 発売日: 2004/04
  • メディア: 単行本


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コメント 5

リュカ

南極物語、号泣です。
今は、こんなふうに南極に犬を連れて行くことはしてないのかしら。
ふと疑問に思いました。
by リュカ (2011-01-15 12:49) 

肉球

南極物語、名作ですよね。
何回もみて泣きました。
また見たくなりました~。
by 肉球 (2011-01-16 10:32) 

mint_tea

南極物語、懐かしい~(泣)
やはり人間側の癒しのためなのでしょうか。
でも犬はどうしてこんなに人間が好きなんでしょう。
犬に聞いてみたいです。
「南極越冬記」読んでみたいです。
猫ちゃんの行方が気になります……
たけしくんは絵本にもなってるみたいですね?
by mint_tea (2011-01-18 21:26) 

Jetstream777

思い出しますね、 南極物語。
犬はなんと素晴らしい、愛すべき動物なんでしょう!
by Jetstream777 (2011-01-20 00:00) 

montblanc

☆リュカさん
このこみ上げる熱いものはなんなんでしょうね^^
1991年「環境保護に関する南極条約議定書」が採択され、その「附属書II」により、南極大陸への犬の持ち込みは禁止されているようです。
http://www.biodic.go.jp/biolaw/nan/nanhu2.html
ネコは大丈夫なのかな?スキーは活躍してます!

☆肉球さん
南極の犬たちをテーマにしたキムタク主演の民放の大河ドラマが企画されているようですね!
どんな作品になるのか気になります^^キムタク宇宙に極地にすごいです。

☆mint_teaさん
初期の極地探検において犬ぞりの役目は計りしえない役割を果たしました。現代では暖房完備の雪上車の機能が向上しているようです。
猫ちゃんは、帰国した歓迎の嵐の中で行方知らずだとか?今ごろ子孫たちが南極の話を語り継いでいるかもしれません?
絵本気になります。探してみますね^^

☆Jetstream777さん
本当に犬と人間は長い付き合いですね。
犬の人間に対する愛情の方がより深いような?
一方的ではなく動物たちとのよい関係を築いていきたいものです。
by montblanc (2011-01-20 05:40) 

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