白い蜘蛛 [ヨーロッパアルプス]
アイロンで思い出したのが、この山。アイガー(Eiger)です。まるで立てかけたアイロンのような標高差1800mのその絶壁は、マッターホルン、グランドジョラスと共に登攀が困難な「三大北壁」の一つに数えられています。
登攀ルートにつけられた名前からもその困難さが伺えます。「燕の巣」や「死のビヴァーク」それに「神々のトラヴァース」、いくつもの「雪田」を越えて最後の難所が「白いクモ」と呼ばれる場所なのです。岩壁に白い足を伸ばしたその蜘蛛は、雪崩や落石で容赦なく登攀者たちを襲います。
スリリングなクライミングの様子だけではなく、アイガーの登攀の歴史やヨーロッパの登山の歴史を知る上で欠かすことのできない一冊です。著者であるハインリッヒ・ハラーはアイガー北壁の初登攀者の一人であるばかりでなく、後にヒマラヤを目指し、ダライ・ラマとの交流で知られる「セブン・イヤーズ・イン・チベット 」を書いています。
登攀ルートにつけられた名前からもその困難さが伺えます。「燕の巣」や「死のビヴァーク」それに「神々のトラヴァース」、いくつもの「雪田」を越えて最後の難所が「白いクモ」と呼ばれる場所なのです。岩壁に白い足を伸ばしたその蜘蛛は、雪崩や落石で容赦なく登攀者たちを襲います。
スリリングなクライミングの様子だけではなく、アイガーの登攀の歴史やヨーロッパの登山の歴史を知る上で欠かすことのできない一冊です。著者であるハインリッヒ・ハラーはアイガー北壁の初登攀者の一人であるばかりでなく、後にヒマラヤを目指し、ダライ・ラマとの交流で知られる「セブン・イヤーズ・イン・チベット 」を書いています。
5000年前の男 アイスマン [ヨーロッパアルプス]
1991年9月19日、ドロミテにほど近いオーストリアのエッツタールに登山に来たドイツ人夫婦がシミラウン氷河で見つけたものは、氷から這い出そうとする人のようなもの。あわてて近くの山小屋の管理人に通報しました。次にやってきたのは警察官、そして検死官。さらには先に紹介したメスナーたち登山者や報道関係者。それが学術的に価値あるものとされてからは、考古学者、科学者、治金学者とありとあらゆる人が動員されてその正体の解明に挑みました。
なんとそれは5000年前の新石器時代の人。「アイスマン」または「エッツィ」の愛称でも呼ばれています。いくつもの偶然が重なって冷凍乾燥のミイラと化し、現代に甦ったのです。彼が着ていたのはマントやクマ皮の靴、持っていたのは銅の斧や作りかけの弓矢、それにおやつのスモモ。溶けてしまわないように冷凍状態で保存されており、ちょっと調べてはすぐに冷凍庫に戻す繰り返しの研究が今も続いています。
この本が書かれた後にも新事実が解明されました。CTスキャンの結果によって鎖骨の下に矢じりが見つかり、それが致命傷となったかもしれないというのです。それまでにもいろいろな学説が唱えられてきました。凍死説が有力だったのが、一転して殺人事件に!? アルプスのミステリー?謎は深まるばかりです。
※本の文中にはミイラの写真があります。苦手な方は、ご注意ください。
(表紙にも同様の写真があるので、今回は記事に本の画像を掲載していません)
2009/09/14 過去記事になったので掲載しました。
児童書もあります。 小学生高学年から
アイスマン―5000年前からきた男 (ノンフィクション 知られざる世界)
なんとそれは5000年前の新石器時代の人。「アイスマン」または「エッツィ」の愛称でも呼ばれています。いくつもの偶然が重なって冷凍乾燥のミイラと化し、現代に甦ったのです。彼が着ていたのはマントやクマ皮の靴、持っていたのは銅の斧や作りかけの弓矢、それにおやつのスモモ。溶けてしまわないように冷凍状態で保存されており、ちょっと調べてはすぐに冷凍庫に戻す繰り返しの研究が今も続いています。
この本が書かれた後にも新事実が解明されました。CTスキャンの結果によって鎖骨の下に矢じりが見つかり、それが致命傷となったかもしれないというのです。それまでにもいろいろな学説が唱えられてきました。凍死説が有力だったのが、一転して殺人事件に!? アルプスのミステリー?謎は深まるばかりです。
※本の文中にはミイラの写真があります。苦手な方は、ご注意ください。
2009/09/14 過去記事になったので掲載しました。
児童書もあります。 小学生高学年から
アイスマン―5000年前からきた男 (ノンフィクション 知られざる世界)
あしたはアルプスを歩こう [ヨーロッパアルプス]
「ドロミテ」私がイタリアで一番行ってみたいところ。それはローマでもヴェネチアでもフィレンツェでもなくこのドロミテなのです。ヨーロッパアルプスと一口に言っても、地中海に始まり、ウィーンに消えるまで長さ1200kmに及びます。場所はアルプスの東端、オーストリアとの国境近くです。特徴は石灰岩(ドロマイト)の白い岩峰群、空に立ち上るこれらの山々を見てみたいのです。
第一次大戦までは、オーストリアに属し、南チロルとも呼ばれました。週末にはドイツからクライミングにやってくるほどです。アルプスの数々の登攀もドロミテが礎になっているといっても過言ではないようです。その辺の話は、ダグ・スコットの『ビッグ・ウォール・クライミング―その歴史・技術・用具 (1977年)』に詳しいのですが、一般向けではないかもしれません。クライミング好きの人におすすめです。
ドロミテに関する本は意外に少ないです。ようやくみつけたのがこの本。山もトレッキングも知らないという小説家の角田光代さんがBSの番組取材で訪れた様子を書き綴ったもの。イタリアのおいしいご飯の話もたくさんあり、とても読みやすいです。しかし、挿入されている地図写真がモヤモヤ・・・。
そんなもやもやをスッキリさせてくれるのが、yukitanさんのブログ『たびたびうきうき』で紹介されているドロミテのきれいな写真たち。連載中で8/19現在の最新記事はこちら⇒「イタリア:ドロミテ 18」(初回はこちら⇒「イタリア:ミラノ~ドロミテ 1」)本よりもオススメしてしまいます。
そう言えば、最初に買った登山靴のメーカーも「ドロミテ」でした。以来、「スカルパ」とかイタリアの登山靴を愛用しています。(国の形が「靴」だから履きやすい靴を作るのかも?)
第一次大戦までは、オーストリアに属し、南チロルとも呼ばれました。週末にはドイツからクライミングにやってくるほどです。アルプスの数々の登攀もドロミテが礎になっているといっても過言ではないようです。その辺の話は、ダグ・スコットの『ビッグ・ウォール・クライミング―その歴史・技術・用具 (1977年)』に詳しいのですが、一般向けではないかもしれません。クライミング好きの人におすすめです。
ドロミテに関する本は意外に少ないです。ようやくみつけたのがこの本。山もトレッキングも知らないという小説家の角田光代さんがBSの番組取材で訪れた様子を書き綴ったもの。イタリアのおいしいご飯の話もたくさんあり、とても読みやすいです。しかし、挿入されている地図写真がモヤモヤ・・・。
そんなもやもやをスッキリさせてくれるのが、yukitanさんのブログ『たびたびうきうき』で紹介されているドロミテのきれいな写真たち。連載中で8/19現在の最新記事はこちら⇒「イタリア:ドロミテ 18」(初回はこちら⇒「イタリア:ミラノ~ドロミテ 1」)本よりもオススメしてしまいます。
そう言えば、最初に買った登山靴のメーカーも「ドロミテ」でした。以来、「スカルパ」とかイタリアの登山靴を愛用しています。(国の形が「靴」だから履きやすい靴を作るのかも?)